英語の前に大事なこと
中川盛太(長岡技術科学大学/ 大阪府立大学工業高等専門学校)
- 留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
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- イルメナウ工科大学・プロセス計測およびセンサー技術研究所
- ドイツ
- イルメナウ
- 留学テーマ・分野:
- 大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)・工学(機械・航空・宇宙・海洋・物質・材料・化学・医療・情報・画像・電気電子)
留学に対するハードルの一つは、英語やその他言語でのコミュニケーションへの不安であると思います。私自身も、高等専門学校出身で、英語は苦手科目です。生まれてから20年以上、日本から出たことがなかったので、初めての海外でタイに行ったときも、大変苦労しました。それに今からひっくり返っても、ネイティブみたいに英語を使うことはできないでしょう。それでも、ドイツでそれなりに研究をして、生きて帰ってくることができました。私は、英語はできるに越したことはないけれども、絶対必要な条件ではないと思うのです。海外の私の友人は、私の英語の上手・下手には全く興味がありません。友人が私に期待していることは、一緒に楽しい時間を過ごすとか、私がどういう人なのか知りたいとか、そういうことなのです。彼らは、私の話と同時に、私の表情や身振り手振り、仕草などよく見ています。とても自然なことですが、そこから私が話した言葉以上にたくさんの情報をキャッチしています。そのため、私が海外の人をとお話しするときは身振り手振りも、表情も大げさにします。ときには、絵をかいたり、ものを使ったりします。また、友人の話の中で自分が分からなかったことは、分かるまで何回も聞きます。それは、全く恥ずかしいことではありません。お互いの意思疎通をするためにとても大切なことです。就職活動をすると、「コミュニケーション能力」という言葉をよく耳にします。この言葉は、コミュニケーションは個人に依存した能力であることを暗示しています。しかし私は、コミュニケーションとは“双方の努力で作り上げるもの”だと思います。相手に最高の興味を持って接する、自分の好きなことを熱心に話す。そういった普段の日常でも、少しの勇気と努力があればできるようなことが、どこで、どんな人と会う時も大切なことだと思います。
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