最終更新日:2025年12月25日 初回執筆日:2025年12月25日

アメリカの大学で新薬開発の研究/実験

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・大学研修
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University of Arizona, R. Ken Coit College of Pharmacy (薬学部) Skaggs Pharmaceutical Sciences Center
  • アメリカ合衆国
  • ツーソン
留学期間:
17日間
総費用:
600,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 510,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検準1級> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

「アメリカで新創薬の開発はどのようにして行われているのか、発想と技術力を探求しに行く」をテーマにして、まず、米国大学の研究室へ在籍し研究の様子を見に行くこととしました。実際に、University of Arizona、Skaggs Pharmaceutical Sciences Center所属のXinxin Ding 教授とAbhijit Date教授の研究室に在籍し、研究の実験補助を行っていると、研究員同士がお互いに助け合って研究を進めていることが分かりました。また、研究員が出した実験結果を話し合う研究報告会にも参加し、研究の進め方も学ぶことができました。
さらに、研究員に米国の医療制度についてのインタビューを行い、現地人に米国民の薬に対する意識について調べることと致しました。まず、薬に対する意識を問うアンケートを英語で作成し、ホストファミリーや街頭でアンケート調査を実施しました。その結果、米国民は薬を用いて自身の健康管理を行うため、薬に対する重要度が日本国民より高いことが分かりました。また、各自の健康管理に対して薬に対する重要性が高い米国民にとって、新薬開発は日本国民より関心があると感じました。

留学の動機

2022年の医薬品創出企業の国籍別医薬品数において、アメリカが1位を占めていることを知り、アメリカにおける医薬品開発の現状や、米国民の薬に対する考え方について詳しく知りたいと考えたからです。また、この活動を通して将来は、新薬開発に携わり、新たに開発した医薬品によって多くの人の健康寿命を延ばし、より豊かな人生経験を送る手助けができる人材になりたいという強い夢を持っているからです。

成果

研究室では研究員と教授との上下関係を無視し、思ったことを言い合う白熱した議論や、研究員同士が実験に対してお互いに協力的であることで、新薬開発の基礎研究で着実に結果を出せているのではと感じました。また、米国の医療制度がとても複雑かつ高額で使用し難く、米国人は各自が薬を用いて健康管理を行うために、薬に対する意識が高く、ゆえに創薬研究に対する投資、高度な発想や技術が必然的に高まると感じました。

ついた力

何事も挑戦する力

研究室では、研究員がそれぞれの実験で忙しそうにしている状況の中でも、躊躇せずに自ら積極的に声をかけることができた点が、留学中に挑戦する力が身についた理由の一つです。
また、実験を進める過程では、理解できない専門用語を用いた会話が頻繁にありましたが、理解を諦めるのではなく、その場で調べたり、会話の途中で質問をしたりすることで、主体的に学ぼうとする姿勢を保ち続けることができました。

今後の展望

今回の探究活動を通して、アリゾナ州ツーソンの街中で風変わりな動物や植物に出会い、それらがかつて薬の根源となっていたことを知りました。この経験をきっかけに植物薬に興味を持ち、今後は植物薬がどのように発見・研究され、その効能が明らかにされてきたのかを調べたいと考えています。将来は、植物薬に関連した新薬開発に携わりたいです。

留学スケジュール

2025年
8月~
2025年
8月

アメリカ合衆国(ツーソン)

Skaggs Pharmaceutical Sciences CenterのXinxin Ding 教授とAbhijit Date教授の研究室で創薬研究のための化合物の合成やその機能(その化合物が皮膚にどの程度浸透するか)などを調べる実験の手伝いを行いました。
研修終盤には、プレゼンテーションを作成し、自分が手伝った実験結果の発表を指導を行って頂いた教授と研究室のメンバーの前で行いました。
また、薬の歴史について知識を深めるために、大学内のCoit Museum of Pharmacy & Health Sciencesでガイドさんの話を聞きながら勉強しました。さらに、アメリカの新薬開発の現状や薬の制度について知るために、研究室のメンバーに質問を行い知識を深めました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

薬の皮膚浸透度を測定するフランツ拡散セル
19世紀後半の薬局を再現した展示。炭酸飲料カウンターに圧倒
ツーソンを象徴するサワロサボテン
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学で確信した、“私はこれを目指す!”

これまで、研究者として新薬開発に携わりたいという漠然とした夢はありましたが、具体的にどの分野を研究したいのか、どの体の組織や疾患に着目した薬を開発したいのかについては、明確ではありませんでした。
しかし、今回の留学を通して、自分が植物薬に強い関心を持っていることを確信しました。ツーソンの風変わりな植物に触れたことも理由の一つですが、研究室で、ある研究員から「最も興味のある分野は何か」と問われたことが、大きな転機となりました。
その際、真っ先に植物が思い浮かび、植物薬と答えたところ、親身になって質問を考慮しながら研究テーマを見つけるための助言をいただきました。この経験を通して植物薬への関心は一層高まり、将来は植物薬に関連した新薬開発に携わりたいと強く思うようになりました。

ヒラーモンスターの毒の成分が2型糖尿病の治療薬に

研究室で思う通りに活動できるのか心配。

  • 留学先探し : 大学

アリゾナ大学の教授に連絡をしても返事が来ない可能性があるという懸念はありましたが、その点については運に任せることにしました。
実際に先方から連絡が届いた際には、驚きと同時に、大学でどのような活動を行いたいのか、活動したいと考えた動機、一日のスケジュール、どの研究室で実験を行いたいかなど、自身の希望をできる限り具体的に伝えました。
また、活動できることやできないことについて連絡を受けた際には、認識のずれが生じないよう、念を押しながら何度もメールのやり取りを行いました。
その結果、やり取りを重ねるごとに、大学で活動できる範囲が徐々に広がっていきました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

これから沢山の困難が立ちはだかると思いますが、失敗もそれは一つの経験だと思って恐れず前に突き進んで頑張ってください。留学は人生最大の宝物です。