留学内容
ドイツ・ザールラント大学人工知能研究所にて、AIの安全性と包括性をテーマに研究活動を行った。具体的には、室温・気温などの環境センサーデータをもとに、ユーザーのプロファイル(年齢・健康状態など)に合わせた行動提案を行う安全なAIシステムの共同研究に取り組んだ。言語の壁だけでなく専門分野の違いという壁にも直面しながら、共通認識の形成から設計議論まで経験した。
最終更新日:2026年03月18日 初回執筆日:2026年03月18日
語学力:
| 言語 | 留学前 | 留学後 | |
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| 英語 | 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEFL99点> | → | 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル |
ドイツ・ザールラント大学人工知能研究所にて、AIの安全性と包括性をテーマに研究活動を行った。具体的には、室温・気温などの環境センサーデータをもとに、ユーザーのプロファイル(年齢・健康状態など)に合わせた行動提案を行う安全なAIシステムの共同研究に取り組んだ。言語の壁だけでなく専門分野の違いという壁にも直面しながら、共通認識の形成から設計議論まで経験した。
学部1年時にジェンダーによる差別を経験したことをきっかけに、AIや情報技術が社会の不平等を再生産しうることに問題意識を持った。AIの開発初期段階から多様な視点を取り入れることが不可欠だと考え、AI研究をリードするドイツで、安全で包括的なAI開発の現場を直接学ぶために留学を決意した。
環境センサーデータとユーザープロファイルを組み合わせた安全なAI提案システムの共同研究を経験した。また、世界各国の研究者との交流を通じ、海外PhD進学に向けた具体的なネットワークを構築できた。言語・専門分野の壁を越えた議論の経験から、国際的な研究環境で活動するための実践的なコミュニケーション力も身についた。
コミュニケーション、まきこみ力
言語の壁だけでなく、専門分野の異なる研究者との共同研究という「分野の壁」にも直面した。相手の話をしっかり聞いていると態度で示し続けることで信頼関係が生まれ、議論が前進することを体感した。英語力以上に、誠実なコミュニケーションと粘り強く場をつくる姿勢が、国際的な研究環境では何より重要だと学んだ。
自然言語処理(NLP)分野におけるAIバイアス研究に取り組み、海外での博士号取得を目指す。ドイツで得た研究ネットワークと経験を活かし、AIの設計段階から多様性・安全性を組み込む研究を推進したい。また、ジェンダーや年齢など属性によって不利益を受けないAI社会の実現に向け、研究と社会実装の両輪で貢献していく。
2025年
8月~
2025年
10月
AIの安全性と包括性をテーマに、現地の研究者と共同研究に取り組んだ。室温や気温などの環境センサーデータをもとに、ユーザーのプロファイル(年齢や健康状態など)に応じた行動提案を行う安全なAIシステムの開発を目指し、データセットの整備とシステム設計まで進めることができた。
研究を進める中で直面したのは、言語の壁だけでなく専門分野の違いという壁だった。同じ英語を話していても、互いの研究の前提が噛み合わず、議論が空回りする時期が続いた。その経験から、相手の研究背景を徹底的に理解すること、図や資料を用いて共通の理解を可視化すること、そして誠実な姿勢で対話を続けることが、単なる言語力以上に重要であると学んだ。
また、研究室で週に一度開かれる「ケーキ会」(皆でケーキを持ち寄りシェアする集まり)に参加するようになってから、人間関係が大きく広がった。雑談の延長で自然と研究の議論が始まるオープンな文化に触れ、研究とは机の前だけで行うものではないのだと実感した。挨拶程度だった研究者がセミナーに誘ってくれたり、研究の相談に乗ってくれたりと、日常の小さな交流が新たな機会を生み出していった。
特に印象的だったのは、研究室の友人が修士論文のDefenceに臨む場面を間近で見たことだ。審査官の鋭い質問に真剣に向き合う姿を目の当たりにし、「いつか自分もこの舞台に立つ」という具体的なイメージを初めて持つことができた。また、アメリカからドイツへ移ってきた女性研究者と話す機会もあり、「ザールラントは女性研究者にとってとても良い環境だ」という言葉を通じて、海外で研究者としてキャリアを築く自分の将来像をより現実的に思い描けるようになった。
さらに、ドイツでの生活を通じて、率直な意思表示の文化や高いリサイクル意識など、日本との価値観の違いも学んだ。帰国前には日本食を振る舞うFarewell Partyを開催したが、多くの人からヴィーガン対応かどうかを確認され、食の多様性への配慮が当たり前に根付いている文化を実感した。研究室内外で積極的にコミュニケーションを取る中で、信頼関係の築き方や異文化への向き合い方が、留学前と比べて大きく変化したと感じている。
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学費:納入総額 - 円 |
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住居費:月額 - 円 |
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生活費:月額 - 円 |
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住居費:月額 - 円 |
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誰かが研究室を去るとき、Farewell Partyが開かれる。日本と違うのは、去る本人がその場を主催することだ。「送ってもらう」のではなく、「自分から別れを祝う」。その文化に、最初は少し戸惑いを感じた。
私が帰国する際も、せっかくなら日本らしいものをと思い、一緒にドイツに来た友人と共に日本食を振る舞うことにした。どの国籍の方でも食べやすく、かつ日本らしさが感じられる料理を用意したのだが、「これヴィーガン対応している?」「グルテンフリー?」と次々に質問を受け、結果として何人かはほとんど食べられない状況を作ってしまい、自分の無力さを感じた。出汁入りの漬物も、醤油ベースの料理も、その条件には当てはまらないものが多かった。
日本では「みんなが同じように食べられる」ことが当たり前だと思っていた。しかしドイツ、特に滞在していたザールラントでは多様な国籍や文化を持つ人々が集まっており、食の多様性への配慮が日常的に行われていることを改めて実感した。
一方で、住んでいたアパートメントの大家さんは、わざわざ私のために手料理を作って持ってきてくれた。その温かさと、食の多様性への配慮が自然に共存しているドイツの研究室の雰囲気を、私はとても好きになった。「違いを尊重する」姿勢が研究にも日常にも根付いているこの国で学べたことを、誇りに思っている。
ドイツに着いてしばらくしてから、現地の友人にふと家賃の話をした。すると「それ、かなり高くない?」と言われた。
私が借りていた部屋は、毎年ザールラント大学の研究室が利用している大家さんの物件だった。研究室を通じて紹介してもらったため、安心感はあった。しかし実際の相場と比べると、割高だったようだ。研究室のコネクションという信頼感が、価格への疑問を持ちにくくさせていたのだと思う。
とはいえ、海外で住居を一から探すのは不安が大きく、特に初めての留学では「紹介してもらった場所」に頼りたくなるのは自然なことだ。
この経験から、渡航前にやっておけばよかったと感じたことが2つある。
①その大学・研究室に在籍している、または過去に留学した人と事前につながっておく。
SNSやLinkedInで検索すれば、同じ研究機関に留学経験のある日本人や留学生が見つかることも多い。現地の住居相場や生活コストのリアルな情報は、公式サイトではなく「人」から得られる。
②渡航前に複数の選択肢を比較しておく。
大学の学生寮、留学生向けシェアハウスやそれを提供しているアプリケーションなどの情報、現地の不動産サイトなどを事前に調べ、相場感を把握した上で判断すると安心だ。
留学の準備は語学や研究計画だけではない。生活コストの情報収集も、立派な準備のうちの一つだと実感した。
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