最終更新日:2026年04月24日 初回執筆日:2026年04月24日

世界基準のカイロプラクターを目指す

留学テーマ・分野:
大学進学(学位取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • RMIT大学健康科学部カイロプラクティック学科
  • オーストラリア
  • メルボルン
留学期間:
7年
総費用:
- 円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

高校時代は、将来の職業について明確な目標を持っていませんでした。私の家系は祖父の代からカイロプラクターを生業としており、父や二人の伯父もアメリカの大学にカイロプラクティックを学ぶために留学した経験があります。ある日、伯父に友人がカイロプラクティックによって腰痛が改善したことを話したところ、伯父の友人が教授を務めるオーストラリアの大学を紹介されました。カイロプラクティックを学ぶのであれば、医療専門職として制度的に確立されている国で学びたいと考えていたこともあり、その大学で専門的に学べる点に大きな魅力を感じました。留学先としてはアメリカも候補にありましたが、私立大学が多く、資格取得までに合計8年程度を要するのに対し、オーストラリアでは公立大学で比較的学費を抑えつつ、約6年で学位を取得できる点を考慮し、最終的にオーストラリアを選択しました。高校卒業後は語学学校に通い、英語試験に合格した後、大学進学準備コースで理系科目を履修し、その後5年間の大学課程に進学しました。

大学では、ほぼ毎日、朝から夕方まで授業が行われ、解剖学・生理学・病理学といった基礎医学に加え、カイロプラクティックの検査学や実技も学びました。講義と実習の双方を通じて、知識だけでなく身体感覚としても技術を習得していきました。カイロプラクティックは、薬物療法や手術を重視する西洋医学とは異なる背景から発展した分野ですが、教育内容の基盤は西洋医学に置かれており、その上で独自の専門理論が体系化されているという印象を受けました。

英語については、授業で用いられる英語は教科書に沿った内容が中心であったため、何とか理解することができましたが、学生同士の日常会話についていくことは容易ではありませんでした。卒業直前になってようやく会話の内容を理解できるようになったときの感動は、今でも鮮明に覚えています。日常会話は時事問題、スポーツ、政治など多岐にわたり、スラングの知識も必要であったため、苦労した記憶があります。振り返れば、こうした経験は非常に貴重なものであり、留学を終えてから24年が経った現在でも、当時の同級生が時々日本を訪ねてくれたり、交流が続いていることを大変嬉しく思っています。

留学の動機

高校3年生のとき、バレーボール部に所属していた同級生が試合中に腰痛を発症し、整形外科での治療では改善しなかったものの、父のカイロプラクティック治療で症状が改善したことが、私が留学を決意する大きなきっかけとなりました。医師の家系で育った彼が、西洋医学とは異なるカイロプラクティックの効果を実感し、その有用性を強く語っていたことから、私自身もカイロプラクティックを学ぶことに関心を持つようになりました。

成果

現在は、祖父の代から続くカイロプラクティックオフィス「東京カイロプラクティック」において臨床に従事するとともに、日本カイロプラクターズ協会(JAC)の事務局長として、国際会議への参加などの業界活動にも携わっています。2011年に本格的に臨床を開始して以来、100カ国以上から患者が来院しており、英語対応が可能なカイロプラクティックオフィスとして、地域の皆様に利用していただいています。

ついた力

忍耐力、批判的思考、力

授業には暗記以外にもディスカッションやディベートも取り入れられており、さまざまな資料を読み込みながら、批判的思考や論理的思考が求められました。ディベートは英語でのハンデもあり、意見が伝わらずに苦労しましたが、自分の発言を工夫することで、簡潔に要点をまとめて伝える力を身につけることができました。さらに施術法の実技では、繰り返し練習が必要であり多くの時間を要しました。

今後の展望

日本の医療制度においては、カイロプラクティックなどの補完医療が正式に制度化されておらず、業界は依然として玉石混交の状況にあります。一方、アメリカやオーストラリアなどの諸外国では、カイロプラクティックは専門的な医療職として広く認知されています。今後、QOL(生活の質)の向上や健康寿命の延伸が重視される日本においても、カイロプラクティックが適切な形で広く利用されることを願っています。

留学スケジュール

2000年
1月~
2002年
12月

オーストラリア(メルボルン)

・1995年:語学学校
語学学校において、さまざまな国からの学生とともに、大学入学に必要な英語力を養うための学習に取り組みました。オーストラリア人家庭で1年間のホームステイを経験しました。

・1996年:大学進学準備コース
カイロプラクティック学科への入学に必要な数学・化学・物理などの理系科目の単位を取得しました。大学附属の学生寮に入居し、世界各国の学生と交流しました。

・1996年~(卒業年):大学
現地の学生や海外からの留学生とともにカイロプラクティック学科で専門教育を受けました。同級生や上級生とシェアハウスで生活し、現地の学生生活を体験しました。

費用詳細

学費:納入総額

12,000,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

語学学校時代にホームステイ先の家族との旅行
大学時代に友人と開催したBBQイベント
シェアハウスの仲間
費用詳細

学費:納入総額

12,000,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

日本語でも難解な専門的内容を扱う医療分野を英語で学ぶにあたり、言語面のハンデもあり周囲についていくことに必死で自信を失いかけた時期もありました。そのような中、臨床実技の授業で印象的な出来事がありました。担当教員が一人の学生の腰椎の問題を指摘し、その部位を治療(調整)できる人はいないかと問いかけました。地元の学生が二人ほど手を挙げて挑戦しましたが、うまくいきませんでした。そこで私も試しに調整を行ったところ適切に施術することができました。その際、教員から「上手いね」と声をかけられ、それまでの緊張が一気にほぐれたのを覚えています。それまでは自分にあまり自信を持てずにいましたが、この経験をきっかけに授業のテキスト以外の専門書を読むようになり、他大学でカイロプラクティックを学ぶ学生との交流にも積極的に参加するなど、より主体的に取り組めるようになりました。

友人とエアーズロックに旅行した時の写真

カイロプラクティックを海外で学ぶ

  • 留学先探し : 大学

日本ではカイロプラクティックが医療制度として位置づけられていないため、海外で教育を受けるには、明確な将来設計を描き、目標に向かう強い意志と覚悟が求められます。英語の習得に加え、留学費用の負担も大きく、帰国後に専門知識をどのように活かして職業につなげるかという課題にも直面します。
また日本のカイロプラクティック業界は玉石混交の状況にあり、さまざまなイメージが混在しています。数カ月から1年未満の短期間でカイロプラクティックを学べると謳う学校も存在しますが、海外の大学教育で実施されている臨床技術を短期で習得することは困難です。患者の安全性の観点からも、このことは十分に理解されるべき点だと思います。

そのような環境の中で、国際標準に基づくカイロプラクティックを適切な形で普及させたいと考える方には、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどの英語圏の大学で専門教育を受けることを強くお勧めします。近年では、比較的授業料を抑えられるマレーシアの大学においても、英語でカイロプラクティックを学ぶことが可能となっていて有力な選択肢の一つです。日本でカイロプラクティックを職業とするには多くの課題があるものの、それでも学びたいという強い意欲を持つ方には、ぜひ挑戦していただきたいと考えています。

日本カイロプラクターズ協会(JAC)では、国際的に認証された正規のカイロプラクティック教育を提供する大学とのネットワークもあり、ホームページで国際認証取得の大学リストを公表しています。
教育機関リスト
https://jac-chiro.org/university/

カイロプラクティックの施術風景
一般社団法人日本カイロプラクターズ協会

学会発表を経験する

  • 語学力 : 英語

私は大学時代よりも、卒業してからの方が英語で会話する機会が圧倒的に増えました。大学時代は講義を受ける際、それほど自発的に発言することはありませんでした。大学付属のインターンクリニックでカイロプラクティック治療を行う際には患者さんとの会話がありましたが週に二回程度で、それ以外は必要最低限のやり取りにとどまっていました。

しかし、卒業後は学会への参加を通して発表する機会が徐々に増え、そうした経験を通じて、少しずつフォーマルな会議の場において、英語での発言を身につけていきました。もともと英会話に苦手意識があり、それを避けがちな環境にいましたが、勇気を持って自発的に会議に参加したり、学会発表に取り組むことで、英語での会話力を向上させることができました。それと同時に、世界中のさまざまな同僚とネットワークを築くことができ、今ではこうした体験ができたことに感謝しています。

学会発表での様子(右から三番目)

留学前にやっておけばよかったこと

留学前に理系科目の履修と大学入学レベルの英語力を準備できるのであれば、事前に身につけておくことをお勧めします。

留学を勧める・勧めない理由

留学はお勧めします。ただし、日本の医療制度は西洋医学(現代医療)がほとんどで、カイロプラクティックなどの補完医療を適切に実践できる環境が十分に整備されているとは言えません。最近では、海外のカイロプラクティック大学を卒業後、帰国せずに現地で開業するケースも増えています。帰国後に日本で臨床や開業を考えている場合には、実務的・法的な課題についてもあらかじめ理解しておく必要があります。

これから留学へ行く人へのメッセージ

日本のカイロプラクティック業界の発展のためには、多くの方に国際標準に基づくカイロプラクティック教育を受けていただくことが重要です。国際標準の教育を修めることで、高い倫理観を備え、科学的根拠に基づいた安全かつ適切な施術を提供できるカイロプラクターが多く育成され、日本の業界において活躍されることを期待しています。これから留学してカイロプラクターを目指す皆様のご健闘をお祈りしています。