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赤川 扇月

出身・在学高校:
旭川実業高等学校
出身・在学校:
東京都立大学
出身・在学学部学科:
システムデザイン研究科機械システム工学域
在籍企業・組織:

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最終更新日:2025年12月18日 初回執筆日:2025年12月18日

次世代半導体GaNで世界のGX化に挑む!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ゲント大学 理学部 固体物理学科 DRAFTグループ
  • ベルギー
  • ゲント
留学期間:
12か月
総費用:
2,400,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC 790点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

テーマは「次世代半導体GaNの低コストな製造手法確立によるGXへの貢献」。
AIやテクノロジーのを行ったう電力消費量の急増は、地球環境破壊という課題を生んでいます。この問題に挑むため、省エネ性能に優れた「次世代半導体GaN」の普及にを目指した。しかし、GaN普及の最大の壁は、製造コストの高さにありました。私は「スパッタリング法」を用いた低コスト化に挑みましたが、日本国内の研究ではなかなか成果が出ず壁にぶつかりました。
そこで、日本の研究室で直面した工学的アプローチの限界を突破するため、理論研究の世界的権威であるゲント大学DRAFTグループにて、普遍的な成膜メカニズムの解明に挑みました。

留学の動機

新材料開発において、従来の試行錯誤による工学的アプローチに限界を感じていました。打破にはより深い理論的な視点が不可欠だと痛感する中、国際学会で理論とシミュレーションや実験自動化が融合した先進的な研究環境を知り衝撃を受けたことがきっかけです。
しかし本音を言うと、高いレベルに身を置くことで自分自身をより成長させたい、海外で生活してみたいといった気持ちも強かったと思います。

成果

国際学会発表や論文共著、現在進行中の執筆活動といった「目に見える成果」も残せました。
ですが、それ以上に価値があるのは「目に見えない成果」です。分野のトップとの日々の議論を通じ、私の思考の質と研究レベルは留学前と比較して劇的に向上しました。単なる技術だけでなく、物事を見る「視座」そのものが根本から変わったこと。そして、この1年間で築くことができた人とのつながりが留学で得た最大の財産です。

ついた力

行動力

海外では、自分からアクションを起こさなければ誰も見向きもしてくれませんでした。待つのではなく、自ら声を上げ、動き出すことで、人生を自ら切り拓くマインドが身に付いたと思います。

今後の展望

留学を通じ、世界トップの研究者でさえ、自身の研究による社会課題解決の難しさに直面していることを痛感しました。今後は、専門性を活かしつつも、より幅広い視点から社会貢献できるキャリアを模索します。
また、現地で再確認したスポーツが持つ可能性を深掘りするため、来年度は再度留学し、その分野の知見を習得したいと考えています。

留学スケジュール

2024年
8月~
2025年
8月

ベルギー(ゲント)

【研究】平日は研究室にて、実験自動化、シミュレーション導入、プログラミング解析といった先進的な手法を駆使し、さらには優れた研究者の方々と議論を重ねるなど、素晴らしい環境のなか研究活動を行っていました。

【課外活動・交流】 放課後と週末は現地サッカーチームで活動。夜は日本語を学ぶ現地学生やESNの留学生たちと毎晩交流を深めました。研究と遊びのオンオフを切り替え、非常にアクティブな留学生活を送ることができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:交際費・旅費

400,000 円

国際学会の様子(ラボメンバー)
寮で開催したカレーパーティー
ゲントの街並み
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:交際費・旅費

400,000 円

スペシャルエピソード

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

毎日の研究活動に加え、週2回の練習と毎週末の試合をこなす日々はハードでした。しかし、それ以上に驚かされたのが現地のサッカーに対する熱量です。試合のたびに100人近い観客が駆けつけ、熱烈な応援を送ってくれるのです。中には「君のファンだ」と声をかけてくれる現地の方もいて、地域全体が一つのドラマを共有しているような高揚感がありました。チームメイトやサポーターと優勝を分かち合ったあの瞬間の景色は、生涯忘れられません。(ただし最終節は骨折で出場できず...)

私は高校まで本気でサッカーをしていましたが、大学では一度距離を置いていました。しかし、ベルギーで改めて「スポーツの持つ力」を思い知らされました。日本と違い、彼らにとってサッカーは数あるエンターテイメントのうちの一つではなく、生活の一部であり、人生そのものであるような印象を受けました。その純粋な熱狂に触れ、私の中で一度は消えかけたサッカーへの情熱が完全に再燃しました。

「スポーツには人を動かす力がある」。そう肌で感じたこの経験は、将来スポーツに関わる分野でも何か貢献したいという、新たな夢を与えてくれました。

リーグ優勝時の集合写真

地獄の松生杖生活

  • 生活 : 病院

留学中、一番困ったのは、現地のサッカーチームで活動中に足首を骨折したことです。特にきつかったのが3つありました。

① 医療・手続きの壁: 日常会話は問題なくとも、専門的な病状の説明や複雑な医療費支払いシステムの中での意思疎通は難しかったです。

②金銭的な壁: 治療費を全部自分で立て替えなきゃいけなくて。現地の保険に入ってないと高額な出費でした。あっという間に生活費が底をつくかも…という恐怖と常に戦ってました。

③ 生活の壁: 松葉杖生活が地獄でした。寮から大学までの移動手段もないし、ご飯の用意や買い出しも大変で。動けないストレスと友達と遊びにも行きづらくて大変でした

しかし、この困難を乗り越える鍵となったのは、現地で築き上げてきた「人との繋がり」と「マインドセットの転換」でした。

窮地に立たされた私を救ってくれたのは、現地で出会った友人たちです。彼らは通院の送迎や買い物、煩雑な手続きのサポートを献身的に行ってくれました。異国で困難にぶつかった時、最終的に助けてくれるのは、自分が大切にしてきた人間関係なのだと痛感し、周囲への感謝の念が深まりました。

また、私はこの状況を悲観するのを止めました。「骨折なんて最悪だ」と嘆くのではなく、「異国でトラブルを自力で乗り越える絶好の機会だ」と解釈を変えました。

結果として、骨折というトラブルは、人の温かさを知る機会となり、逆境でも「なんとかなる」と信じて前に進むタフな精神力を養う経験となりました。困難に直面しても、落ち込まず、良い面に目を向けて意味づけを変えれば、どんな壁も必ず乗り越えられると確信しています。

松葉杖の時の写真

留学前にやっておけばよかったこと

「行けば何とかなる」という安易な考えで留学しましたが、語学力は現地に行くだけでは伸びません。多少伸びやすい環境があるだけです。事前にもっと英語を徹底的に学んでおくべきでした。そうすることで、現地で自己学習に費やす時間を減らし、友人との交流や貴重な体験といった「留学でしかできないこと」に、より多くの時間を割けたなとは思います。

留学を勧める・勧めない理由

基本的には勧めますが、現状に満足していたり、無理に行く必要はないのかなと思います。良くも悪くも人生に大きな影響を与えるきっかけになりうるからです。
しかし、もしあなたが「変わりたい」「成長したい」「何か見つけたい」と願うなら、強く勧めます。私自身、留学で価値観や進路が劇的に変わりました。現状を打破し、新しい刺激を求める人には、これ以上ない選択肢だと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学に行くだけでは何も変わりません。大事なのは「何をするか」と「何を学ぶか」だと思います。 一番もったいないのは「何もしないこと」。だから恐れずに動いて、たくさん失敗してください。 最後に、成長や成果にとらわれすぎないこと。結局は「楽しんでなんぼ」です!全力で楽しんで、自分だけの経験を掴み取ってください。