留学大図鑑 留学大図鑑

高野 圭太

出身・在学高校:
茨城県立竹園高校
出身・在学校:
順天堂大学
出身・在学学部学科:
大学院医学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2025年12月08日 初回執筆日:2025年12月08日

歩行再建を拓くリハビリテーション基礎研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University Health Network
  • カナダ
  • トロント
留学期間:
11か月
総費用:
3,500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,110,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC840点>

留学内容

北米最大級の研究・医療施設である University Health Network /University of Toronto において、脊髄損傷患者さんへのリハビリテーションに有効となる「運動 × 電気刺激併用治療」に関する基礎研究を行いました。もともと私が持っていた医学的・リハビリテーションの知識に加え、工学的な知識も磨けると考え、留学先を決定しました。

留学期間を通して、生体反応データの解析やプログラミングなど工学的スキルを学びながら、運動と電気刺激を組み合わせた実験を継続して実施しました。その結果、実験を完遂し、国際学会での発表や国際誌への論文投稿につながる十分なデータを得ることができました。

留学の動機

将来、世界で活躍する理学療法研究者として活躍することを目指しています。そのため、大学院生である今の段階で自分の現状を把握し、世界で通用する力と不足している点を明確にする必要があると感じ、留学を決意しました。

成果

留学先の研究室で、国際学会での発表や国際誌への論文投稿が可能となる一つの実験を完遂しました。また、留学を通して、研究者としての自分の強み(継続力、ハードワークなど)と、今後改善すべき点(積極性の不足、多様な視点の獲得など)を明確にすることができました。

ついた力

忍耐力

日本とは異なる環境の中で、言語の壁や研究手続き・制度の違いに直面しました。思うように進まない場面も多くありましたが、その状況でも試行錯誤を続ける中で、継続する力や問題解決へと向かう姿勢が身につきました。結果として、困難にめげずに取り組む「忍耐力」が大きく養われたと感じています。

今後の展望

まず日本で研究者としての力をさらに高めていく予定です。これまで日本で培ってきた継続力やハードワークを大切にしつつ、海外で身につけた積極性や、医学分野に偏らない多角的な視点・知識を組み合わせ、リハビリテーション分野に貢献できる研究成果を生み出していきたいと考えています。
近い将来は、国際学会での発表と国際誌への論文掲載の双方に積極的に取り組み、成果を継続的に積み重ねていくことを目指しています

留学スケジュール

2024年
10月~
2025年
8月

カナダ(トロント)

2024年10月から2025年8月にかけて、北米最大級の研究・医療施設である University Health Network / University of Toronto において、脊髄損傷患者のリハビリテーションに有効となる「運動 × 電気刺激併用治療」に関する基礎研究を行いました。

所属した研究室には、さまざまなバックグラウンドを持つポスドク、大学院生、summer student(学部生)など10名以上が在籍し、リハビリテーション分野の多様な研究に取り組んでいました。医学的知識に加えてプログラミング技術やデータ解析技術を活用し、脳波測定、神経興奮性評価、立位姿勢評価など幅広い測定が可能な、非常に充実した研究環境でした。この環境下での活動を通して、もともと持っていた医学的・リハビリテーションの知識をより深めるとともに、新たに工学的な知識・スキルも磨くことができたと感じています。

私個人の研究テーマは「運動と電気刺激を組み合わせた治療法に関する基礎研究」であり、留学期間を通して継続的に実験を実施しました。その結果、実験を無事に完遂し、国際学会での発表や国際誌への論文投稿につながる十分なデータを取得することができました。また、この研究活動を通して、自分自身の現在地も明確になったと感じています。研究者としての自分の強みは、継続性と、ハードワークであると感じた一方で、積極性の不足や、多様な視点を持った考察が課題であると実感しました。留学で得た貴重な経験を踏まえ、今後は研究者としてさらに成長していきたいと考えています。

生活面では、トロント中心部のシェアハウスで3人と共同生活を送っていました。近くにはアジアンスーパーが複数あり、馴染みのある調味料や日本食材も容易に手に入りました。また、多民族都市であるトロントには世界各国のレストランが立ち並んでおり、研究室メンバーとの食事会や週末のレストラン巡りを通して、多様な食文化に触れることができました。

ただ、冬の気候には苦労しました。日本(関東)では経験したことのない雪や厳しい寒さ(最低気温 -15℃)は大変でした。逆に、夏は湿度が低く最高気温25℃ほどであり、とても快適に過ごすことができました。トロントの文化や気候を経験したことは、すべて良い思い出として心に残っています。

費用詳細

学費:納入総額

400,000 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

40,000 円

冬のトロント大学
冬のトロント
留学先の研究室
費用詳細

学費:納入総額

400,000 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

40,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

カナダの方々の優しさには、毎日のように感激させられました。カナダでは、異なる文化や考え方を自然に受け入れ、初対面であっても仲間として迎え入れてくれる「オープンな優しさ」が根付いています。日本人なら恥ずかしくてためらってしまうような場面でも、外国人である私に対して積極的に声をかけ、助けようとしてくれることが多くありました。

例えば、研究室でプレゼンテーションをした後には、「Great job!」と笑顔で声をかけてくれたり、「ここの部分が特に良かったよ」とストレートに褒めてくれたりしました。その率直で温かい言葉に、何度も大きく励まされました。また、荷物を持っていると当たり前のようにドアを押さえて待ってくれるなど、日常のさりげない場面でも温かさを感じることが多く、何度も救われました。

カナダで出会った人々のこうした“オープンな優しさ”は、私の心に深く残る大切な経験となりました。

トロントの象徴となるモニュメント

住まい探し

  • 住まい探し : シェアハウス

住まい探しは、留学準備の中でも特に苦労する点の一つだと思います。私自身も、日本にいながらカナダの住まいを探すことに大変苦労しました。SNSや掲示板を利用してオーナーに連絡を取ってみましたが、返信が来ない、返信があっても途中で途切れてしまうなど、なかなか話が進まず、住まいが決まらない時期が続きました。

そのような状況の中で、留学先の教授に相談したところ、現地で暮らす日本人の方を紹介していただき、その方がオーナーを務めるシェアハウスを案内していただきました。こうして住まいが決まり、無事に新しい生活を始めることができました。

海外の掲示板やSNSで住まいが見つかることもありますが、連絡が途絶えることも多く、必ずしもスムーズには進まないと感じました。一方で、現地に住む日本人のネットワークや知り合いの紹介を通じて探す方法は、安心感もあり、住まいが決まりやすいと実感しています。

留学前にやっておけばよかったこと

留学前に教授と研究内容をより綿密に打ち合わせておくべきだったと感じています。研究テーマの決定から倫理申請、実験、解析、論文投稿までを1年で行うのは難しく、事前準備の重要性を実感しました。テーマ整理や必要書類の準備など、先に進められる部分は留学前に整えておくことで、現地での研究をよりスムーズに始められたと思います。

留学を勧める・勧めない理由

留学により、自分が研究者として何が通用し、何が不足しているのかを客観的に把握できると感じました。この現在地を知ることが、今後の成長に不可欠であるため、留学は非常に重要だと思っています。

これから留学へ行く人へのメッセージ

海外留学は大きな決断であり、「留学に行きたいけれど、きっかけがなく、結局行けずに終わってしまう」と感じる方も多いと思います。しかし、ほんの少しのきっかけがあったとき、そのチャンスにすべてを賭けてみることが重要だと感じています。すべては「勢い」と「決心」です。深く考えすぎず、自分の目標に向かって一歩を踏み出せば、必ず道が開けると感じています。