留学内容
①問1:フィンランドと日本の教育問題の相違点および共通点
教師宅でのホームステイでは、ホストマザーへのインタビュー、街頭調査、小学校訪問、そして教師へのインタビューを行った。
「フィンランドにはどのような教育問題があるか」という質問に対して、ホストマザーは主に教育格差と移民を取り巻く教育問題を挙げてくださった。教育格差については、学校間の格差があるという。以前はこのような問題はほとんどなかった、あるいは問題視されていなかったが、移民の増加や電子機器の普及など社会の変化によって格差が生まれているそうだ。
例えば、フィンランド語を話せない移民の生徒が授業についていけないことや、幼少期に読書をしてこなかった移民の生徒とフィンランドの生徒の間で読解力の差が生じることが挙げられる。フィンランドでは0歳頃から読書をすることが一般的であるため、その習慣の違いが学力差につながっているという。現在では、フィンランド語を話せない生徒が5割を占める学校もあるそうだ。
また男女間にも差があり、ホストマザーは女子のほうが優秀な生徒が多いと話していた。さらに、家庭でどれほど教育が重視されているか、つまり親がどれだけ勉強を促すかによっても格差は生じるという。フィンランドの家庭では一般的に教育を重んじる傾向があり、幼少期から読書習慣を大切にする家庭も多い。一方で、移民家庭の中には教育に対する価値観や生活環境の違いから、家庭で十分に学習を支援することが難しい場合もあり、そのような違いが学力差につながることもあると説明された。
次に、私立の小学校を訪問し、教師2名にインタビューを行った。そこで大きな問題として挙げられたのが、政府による教育費の削減である。特に私立学校は公立学校よりも支給される資金が少ないという。実際に音楽の授業では、生徒全員分の教科書がなく、教師が一つの教科書をモニターに映して授業を行っていた。また、電子機器の利用によって生徒のエネルギーが低下しているとして、SNSの拡大も問題視されていた。移民の言語問題や家庭教育の重要性についても触れられ、子どものウェルビーイングが十分に大切にされていない場面もあるとのことだった。生徒に問題がある場合には心理カウンセラーが対応している。
日本では生徒の不登校が深刻な問題となっているが、高校の先生は「フィンランドでは高校までが義務教育であり、学校に来るよう生徒に伝える責任がある」と話していた。また、フィンランドでも生徒が勉強に対してプレッシャーを感じることはあり、主に高校卒業試験や大学入試がその要因となっているそうだ。
これらの教育問題がある一方で、私が留学前に耳にしていたフィンランドの学力低下(PISAの結果など)については、現地では一切言及されなかった。フィンランドでは結果よりも過程を重視する傾向があり、学校生活の中でも他人と比較する場面が少ないと感じた。
最後に、日本では教師の長時間労働が大きな問題となっているが、フィンランドでは最近教師の労働問題も話題になっているものの、日本ほど深刻ではないと感じた。残業文化や部活動がないため、教師は午後4時頃には帰宅する。また、勤務時間が終わると仕事のメールを見ることもない。日本のように空気を読んだり罪悪感を感じたりする様子はなく、時間になれば帰宅するというメリハリがはっきりしていた。一方で、日本の学校では進路指導などにおいて教師が生徒一人ひとりに対して行うサポートが比較的手厚いと感じた。
②問2:フィンランドの幸福度の高さと教育の関係
フィンランドの幸福度の高さは、自分の存在そのものを肯定する自尊心の高さと、国からの手厚いサポートが関係しているのではないかと考えた。
まず、自尊心は家庭や学校などの環境の中で育まれる。私が訪問した小学校では、5年生の授業で「Emotional Skills」という授業を見学した。そこでは、生徒同士が互いの良いところをプリントに書き合ったり、「あなたはありのままでいい」といった言葉を自分自身にかけたりしていた。
小学5年生が自然にそのような言葉を自分にかけられるのは、日頃から家庭や学校で親や教師が子どもを肯定する言葉をかけているからではないかと感じた。また、日本で見られる謙遜文化があまり見られないことも関係しているのではないかと思い、この点については今後さらに追求したいと考えている。
さらに、「できないこと」よりも「できたこと」に焦点を当てる教育は、幼児教育や小学校教育において重要であると感じた。
また、医療・福祉・教育・子育て・失業など、さまざまな面で国からの手厚いサポートがあることも大きい。日本と比べて国民が政府とのつながりを強く感じており、それが精神的な安心感につながっているのではないかと思った。
③問3:フィンランドにおける人生の学びとそれを取り巻く環境
フィンランドでは、人生を通して学び続ける環境が整っていると感じた。挑戦する機会が多く、金銭面のハードルも比較的低いため、年齢に関係なく何かを学ぶことができる。
人口が少ないため、国としても金銭的なサポートを行いやすいのではないかと考える。特にキャリアの変更が比較的容易であり、大学での学び直しも可能である。このような制度や環境が、生涯にわたる学びを支えているのだと感じた。







